2004年度模擬裁判
地上げ屋の陰謀
4.判決
結論は、原告の勝訴となった。被告側の敗因は、信頼関係の破壊に該当する事情が認められた点にある。
木村裁判長は、「たとえ上松が富樫から転貸についての承諾を得ていたとしても、富樫の上松に対する信頼が破壊されるような自体が起これば、富樫は契約を解除することができる。今回のケースにおいては、転借人である道橋が、建物の概観を著しく変えてしまった。このことが、富樫の上松に対する信頼を破壊したと言うに足りる行為であった。」と判断したのである。
敗因は、建物賃貸借契約約款違反による解除が認められたことによる。すなわち、右約款には用法遵守および善管注意義務に関する文言があり、被告が建物の維持保存と無関係な工事をなしたことが、善管注意義務違反と認定されたのである。
なお、裁判所は、宗教法人「野望の華」が世評の悪い宗教団体であると認めるに足りる証拠は無いとし、原告の錯誤無効や詐欺取消しの主張を退けている。しかしながら、外観変化は容易に原状回復が可能であり、また、雨漏り防止のための修理であった、との被告側の主張もまた、これが善管注意義務違反を免れることにはならず主張自体失当であるとして、最終的には原告の請求を認めた。
判決文
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