2004年度模擬裁判

地上げ屋の陰謀

1.あらすじ(事件の起こった経緯)

陰謀は、とある女社長が都市開発計画の噂を耳にしたところから始まった。彼女の名は佐野アキといい、都内某所に「サノアキ不動産」という名の不動産会社を構えている。

サノアキ不動産は近年業績を著しく伸ばしていることで業界内でも有名だったが、同時に「手段を選ばない冷酷な手口」など黒い噂が囁かれることもあった。

この会社の敏腕女社長として名高い佐野は、ある都市開発計画の噂を入手する。この情報は彼女が独自のルートで手に入れたもので、公にはされていないが、かなり確かな情報であった。そこで、彼女は、その周辺の土地を買い占めようと企てたのである。

そして、計画は実行されることとなる。彼女の右腕である有能な部下中島仁の功労もあって順調に土地を手にしていくのだが、どうしても土地を手放そうとしないある地主のために計画は膠着状態に陥ってしまう。その地主は、富樫久美子という一人の老女であった。

「土地は売らない」の一点張りである富樫に対し、中島は得意の話術で近づき、その理由を聞き出すことに成功した。

富樫曰く、「私は現在土地と建物を上松麻里という老人に賃貸しており、古い付き合いのある借主を追い出すような真似はできない」とのことである。

だが、中島は、この話に矛盾を感じた。なぜなら、中島が当該土地建物を見に行ったとき、そこに住んでいたのは老女などではなく、男性だったからである。

中島はすぐに調査を進め、上松麻里が道橋秀憲という男性に建物を転貸していることを突き止め、これを富樫に報告したのであった。

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